第7回勉強会
第7回西日本医学英語勉強会レポート
By C.I.
2015年9月13日(日)、広島市まちづくり市民交流プラザで開催された、第7回西日本医学英語勉強会に参加しました。今回の勉強会では、放射線影響研究所の古川恭治先生が、「だから統計学はおもしろい~放射線リスクからカープの優勝確率まで~」と題して、統計学を非常に分かりやすく、楽しく説明してくださいました。前回までとは少し異なり、地元の参加者中心で、ロの字型でアットホームな雰囲気の中での勉強会となりました。
まだ日本ではなじみの薄い統計学ですが、現在では、あらゆる分野で生かされるようになってきているそうです。医薬関係の翻訳においても、統計学の基礎は避けて通ることができず、どうしても理解が必要になってきます。私自身、医薬翻訳の際、統計が出てくるたびに苦手意識を感じていました。このたびの勉強会で、基礎を分かりやすく教えていただいたことで、霧が晴れたような感じがしました。
勉強会の冒頭では、まず確率について分かりやすく説明をしてくださいました。じゃんけんを例にとり、勝率を上げる方法はあるのかを考えてみました。実際に先生がいろいろな人とじゃんけんをした結果をスライドで示し、その勝率が偶然であるかどうかについて楽しく考察しました。この平易な例を導入として、統計学の基礎として古川先生が説明してくださったのは、P値でした。ある事象が確率的に偶然なのか、有意なのかを判断する指標となるものです。棒グラフや円グラフを使いながらスライドで非常に分かりやすく解説してくださいました。
プレゼンテーションの後半は、地元広島カープの優勝確率や、各選手の統計学的なデータなどを見ながら、統計学について学びました。野球は数値化できる部分が多く、他のスポーツより統計学を生かしやすいそうです。セイバーメトリクスという分析手法が確立されていることなど、興味深い話をお聞きすることができました。また、古川先生の野球に対する熱い思いがひしひしと伝わってきました!
質問コーナーでは、野球だけでなくスポーツ界全般における統計学の活用についても話がおよびました。先生や質問者が熱心にお話される様子をうかがいながら、統計学が生きた学問であることを実感しました。
古川先生による勉強会の後は、今後の予定について、畝川さんがお話しくださいました。また、勉強会の進め方ということで、畝川さんが皆様から事前に聞き取ってくださった希望や意見などについても共有してくださいました。参加者による意見交換も行われ、参加者が主体となったプレゼンテーションやワークショップ、論文抄読会なども取り入れていきたいという方向性が確認されました。
勉強会の後は、ディナーオフ会が開催されました。残念ながら私は不参加でしたが、スポーツ統計についてさらに話が盛り上がったのではないかな、と思っています。
今回ご講演くださった古川先生、そしてこの勉強会のためにいつも尽力し、奔走してくださる畝川さんに心から感謝します。このような勉強会が広島で開催されることは本当に素晴らしいことです。これからも益々この会が発展してゆくことを楽しみにしています。 [補足: akoron] GoogleのChief Economist Hal Varian氏による「I keep saying that the sexy job in the next 10 years will be statisticians.」という言葉が紹介されました。確かに統計学は「熱い」!でも、よく分からない(笑)。統計学とは何か、どういう学問なのか分かりやすく紹介してくださいました。放影研では、論文に「統計家」のお名前もきちんと記載されているそうですが、日本ではまだまだのようです。古川先生がカープのデータを収集されているように、自分の興味のある分野のデータを収集・分析してデータの性質を調べる作業、何だか面白そう!
夕食会では、ドクターS、地元通訳・翻訳者M嬢といっしょに、次回以降の勉強会構想についても話し合いました。皆さま、ありがとうございました。