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第5回勉強会

第5回西日本医学英語勉強会レポート

by Hiroko Sakashita

 2015年4月26日に第5回西日本医学英語勉強会が開催されました。合計19名が参加し、たくさんの質問が飛び交い活発な議論の場となりました。

 今回の勉強会は、講師がJA広島総合病院副院長の徳毛宏則先生と特許翻訳者・翻訳学校講師の松田浩一さんからなる二部構成となりました。

セッション1「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)について 」徳毛宏則先生 (JA広島総合病院副院長・消化器内科主任部長)

 勉強会としては初めて医療現場の医師が講義されるということで、たいへん興味深く聴講しました。

 日本語のスライド画面が映し出されて日本語で話すのだろうと考えていたら、徳毛先生は英語で話し始めたのです。おそらく勉強会の趣旨に合わせてプレゼン方法を変更して下さったと思うのですが、このような機会はめったにないので私は集中して、お話を聞きました。フリーランスの翻訳者は一人で翻訳作業に没頭してしまい、考え方も独りよがりになりがちですが、翻訳業界以外の人からも学びの姿勢を見習わなければと強く心に思いました。

 セッションは、脂肪肝の概要から始まり、脂肪肝から進行する非アルコール性脂肪性肝障害・肝炎の問題、現状把握、診断方法、治療方法と続きました。講義終了後の質問タイムでも6人が手を上げ、医学的な疑問から広島での医療通訳の現状まで有意義な意見交換が行われました。

 最後に、脂肪肝の主な原因は肥満だそうです。翻訳者は仕事上、どうしても運動不足になりやすいので、長く翻訳を続けるためにも、皆さん、適度な運動・食事を心がけましょう。

○セッション2「桃栗三年恥かき十年」松田浩一さん (特許翻訳者、翻訳学校講師)

 セッション2は、松田さんのエンジニア時代からフリーランスの翻訳者になるまでのいきさつから始まりました。

 松田さんは岡田信弘先生から翻訳を学んだという話をされましたが、私も駆け出しの頃に岡田先生の「翻訳の泉」を読破して特許翻訳を勉強しました。地方在住のため東京の翻訳学校まで行くことができず直接お会いできませんでしたが、翻訳者として今あるのは岡田先生のおかげです。この場をお借りしてお礼いたします。ありがとうございました。

 今、辞書が熱いということで、最近のトピックである辞書引き学習法、映画 「舟を編む」 、通訳者長井鞠子さんのビデオ上映から本題に入りました。

 松田さん調べによると、翻訳者が持っている辞書の数は英和、和英、英英、専門辞書と平均して2~6冊、合計で10数冊だそうです。

 調べものには紙・CD-ROMの辞書の他にネットも活用するということで、Weblio 辞書/英辞郎、Google/Bing、少納言、COCAを挙げられていました。

 松田さんの個人的な話として、以前は、EPWING形式のCD-ROM辞書をWindows XPパソコンでDDwinを使って検索していました。しかし、2013年夏から状況が変化したそうです。具体的には、研究社が新英和/新和英大辞典EPWING版、リーダーズ英和辞典第3 版EPWING版の再版予定がなくなってしまいました。

 この状況を打破するために新システムに移行することを決意。Logophile+Dicregate+PDIC+MultiTerm+かんざしのマルチプラットフォームを構築しました。Logophileは、EPWING、LogoVista、CD-ROM辞書、ネットD/L辞書の検索を担当し、Dicregateは、ネット辞書の検索を担当し、「かんざし」は、Logophile、Dicregate、PDIC、Multitermの司令塔となり、これらを一括検索できるそうです。この「かんざし」は、私は使ったことがないので是非試してみたいと思いました。加えて、iPhoneアプリの「EBPocket」を使い、外出時でも検索できるようにしているそうです。その他に自作辞書の作成方法、作成のコツも伝授して頂きました。

 実際に、辞書を引こうということで、辞書に載っている具体例をいくつか挙げて頂きました。"the voltage across the capacitor"はどのような訳になると思いますか?ビジネス技術実用英語大辞典に「そのコンデンサの両端の電圧」という訳で載っています。私も経験があるのですが、ある特定の辞書にしか、翻訳の時に使うことができる訳語が載っていないことがあるので、複数の辞書を隅から隅まで丁寧に読む必要があると思いました。 次に、ワークショップで二題の英和問題を考えました。現在分詞と動名詞を見分けること、困ったときは付帯状況を疑えという、私もよく遭遇する難題が出てきて大きくうなずきました。

 松田さんのSNS(mixi、Facebook)での活動が紹介されました。疑問を感じたら、まずは自分で考えて自分なりの答えを出し、書籍やネットで検索して裏付けを取ること。どうしても分からなかったらSNSに参加して相談すること。これらの過程をきちんと記録しておくことが重要ということです。

 最後に、松田さんが二度買いしたという「基礎日本語辞典」、そして私から提供した「知財担当者のための実務英文入門」をめぐって、じゃんけん大会が行われ、楽しいひとときとなりました。

★追記:この日の第2部は「特許翻訳者」であり「翻訳講師」でもあるMattさんのご登壇とあって、グループ外の特許翻訳者さんにもご参加いただき、「医薬」という分野の垣根を越えたセッションとなりました。また、こうした全分野に共通した「日本語力」や「英語力」を見直す機会も設けたいと考えています。また、グループ・メンバーからは翻訳支援ツールについてもご要望をいただいています。業務の効率化の観点からも、今後のトピックとして検討中です(^_^)。 この日のディナーは、これまでの創作料理やイタリアンとはがらりと様変わり!居酒屋の掘り炬燵で和食と日本酒を堪能しました! by akoron


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