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第4回勉強会

翻訳者の観点からブルーヘルマンス先生の講義を聞いた感想 by Miyuki

研究所勤務の翻訳者として研究員の論文を翻訳したりしますが、所内翻訳員は余りジャーナルが指定するスタイルには従わず、所内のルールに従って翻訳しており(例えば論文タイトルについて、AMAスタイルでは5文字以上の前置詞は大文字で始めるのに対し、所内では7文字以上)、AMAのスタイルなどほとんど気にしたことがありませんでした。それで、素人的な最初の感想は、「いろんな論文のスタイルに合わせるのは大変」です。しかも同じ論文もスタイルを頻繁に変更しているとなると、書き手にとってついていくのは大変だと思います。それで、「書く際にまず投稿する雑誌を決めておく」ことが必要なんですね。

また、論文翻訳に携わっていながら、論文の投稿から審査を経て掲載までのプロセスを余り知らなかったことに気づきました。レビューアーは忙しい合間を縫って無報酬で(!!)夜中の疲れた時間に論文を査読しているので、いかに簡潔に書いて読み手を引き付けるか、の重要性も改めて認識しました。そして、「新しく重要な点を強調する」ことが肝心で、論文発表は独自性・重要性をアピールする「商品の売り込み」に近い「戦争」という印象を受けました。

英語のネイティブ以外が書いた論文に対する査読では英文の校閲を受けるようコメントが出されることが多いので、「謝辞」に翻訳者などを含めるとそれを避けることができるが、(ここからは食事の席で伺ったことですが)翻訳者によっては自分の手を離れてからの修正などには責任を持てないので、名前を入れて欲しくない人もいるとのこと。なんと論文の60%で、editingのため、abstractと本文に不一致が生じているそうです。やはり筆者と翻訳者の密なコミュニケーションがあれば筆者は助かるということを認識しました。

編集者からのdecision letterの微妙な表現で、修正すればまだ可能性があるのか、全く見込みがないのかの判断をするクイズが面白かったですが、私も以前研究員から「この返答は何を意味しているの?」と質問されたことがあります。レビューアーからのコメントの解釈にも翻訳者が関与し、明確な回答ができれば、雑誌の事務局はスムーズに独自に判断でき、雑誌掲載の可能性が高まるわけですね。

結論として、論文を書く研究者と翻訳者の間に密なコミュニケーションがあればあるほど論文がアクセプトされる可能性が高くなるという印象を持ったので、研究者・翻訳者間のinteractiveなシステム構築がいかに望ましいか、を感じました。

得られた具体的な知識としては…。

1)abstract自体がIntroduction、Methods、ResultsとDiscussionに分かれている。Introductionは1ページ半以下、Methodsは長くてもよいが、それ以外は全て短く。MethodsとResultsの違いは、Methodsでは調査開始時にわかっていたことも書き、Resultsでは調査してわかったことを書く。limitationsの記述が殆どの雑誌で求められている。

2)レビューアーは雑誌に対して推薦した方がいいし、逆に競合グループの研究者は外すよう依頼することも可能。

3)weak verb + nounではなく、strong verbを用いる(Tompkinsさんも同じことを言われましたね)。例:perform analysis of 192 lymph nodes → analyze 192 lymph nodes。日本人は往々にしてweak verb + nounの方が洗練されているとかフォーマルだ、学術的だ、などと感じて長々と書きがちですが、文章のインパクトが弱くなるだけなんですね。

4)数字は後に単位が来る場合は一桁でも算用数字でスペースを入れるが(例:5 years、 3 minutes)例外は%と℃で、スペースを入れない。patientなどは雑誌によって扱いが違う(“seven patients” vs. “7 patients”)。

5)maleやfemaleは名詞としては使わないが(malesはmenに)形容詞としては使用可能(例:female patients)。

また時間があればAMAスタイルなど読んでいきたいと思います。

ブルーヘルマンス先生、お忙しい中広島まで足を運んでくださり、ありがとうございました。畝川さん、フットワークの軽さと人脈の広さで非常に役に立つ勉強会を企画・開催してくださり、改めてお礼申し上げます。

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Dr. KYからのコメント:

タイトル通り、確かに研究者が知っておくべきことだと思いました。これまで論文を書いたり投稿したりしてきた経験から大体は知っていたことではありますが、0-9の数字はregular nounの前ではspell outするとか、cover letterのsuggested reviewerの選び方は初めて知りました。今回の勉強会は、英文での論文作成に関係する知識を改めて整理する良い機会になりました。

あと、edanzediting社のカバーレターのテンプレートやMayo Clinicのインフォームドコンセント文書は実際的に役立ちそうです。 ---------------------------------------------------------- (ディナーは、前回と同じくイタリアンをコースでいただきました!ブルーヘルマンス先生、素晴らしい講義をありがとうございました。by akoron)


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