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第3回勉強会

「第3回西日本医学英語勉強会 参加報告」

by M.H.

第3回勉強会は医学論文の翻訳についてご講授いただきました。講師はメディカル翻訳者必携の書「まずはこれから!医薬翻訳者のための英語」の著者でいらっしゃる、森口理恵さんです。遠くは関東からのご出席者も含め総勢33名の参加がありました。翻訳の実務に就いておられる方もそうでない方もしっかりと事前課題に取り組まれ、その上で活発な質疑や議論が交わされ、受講者の意欲・熱意の高さを伺い知ることができました。

私個人としては論文翻訳経験のある者として、「この分野で一流の翻訳者になるためには何が必要か。一流の方と自分の違いは何だろうか」という思いで参加しました。まず決定的な違いは「すべての参考文献(references)に目を通す」という姿勢でした。自分も同じように参考文献を読み、検討したつもりでしたが、森口先生は「どのような対象を母集団にとると、この数値が得られるのか」ということまで読み取った上で訳を作成しておられ、自分の読み込みの甘さに気付かされました。「英語としては論文を読めているが、理解が不十分なため、内容を橋渡しできていない」という弱点のご指摘もあり、たとえば、相対リスクと絶対リスクの違いなど数的な概念が頭に定着していないと理解に差が出るなど、文系出身の私としては強化すべき課題がまた一つ見つかりました。

慣れた翻訳者のテクニックとして、「クライアント寄りの表現で訳す」、「コンパクトでわかりやすい表現を選ぶ」というのも今後意識して実践していきたいポイントでした。訳例は簡潔で読みやすく、医家向けの表現になるように工夫されており、翻訳者としてはここまでの訳文作成が求められていることを痛感しました。例として、「生涯に○○を発症するリスク」は「生涯発症リスク」と漢語にする方がわかりやすく、その際にはgoogleで「生涯発生リスク」、「生涯発症リスク」のようにいくつか検索してみて、信頼性のあるソース(日経メディカルなど)が使っている言葉を選択すべきとのことでした。「意味もわからずにそれらしい表現を使うと間違うリスクが高い」とおっしゃっていたように、日頃から多くの文献に触れ、よい表現を見つけて、確実に自分のものにする作業が必要と感じました。

また、利用可能な和文/日本語のコーパスについて質問があり、「googleは日英・英日どちらの文例検索にも使える。検索はテクニックに走るな。インスタントな答えを求めるのではなく調べて拾ってきて表現を知ること」という回答をいただきました。ノウハウというよりも「やりながら学ぶ」ということに尽きるのかと思います。論文翻訳のスキルの鍛え方についても、たとえばある疾患について日本語で書かれた文献と英語で書かれた文献を読み比べ(注:翻訳は読まない)、結び付けをし、二方向で表現・内容を考えるトレーニングが効果的とのお話でした。

ディナーオフ会は窓から平和記念公園が臨める素敵なイタリアンレストランで開催されました。美味しい料理とお酒をいただきながら各テーブルで楽しい語らいが続きました。また、同業者の方と情報交換するなかで自分の仕事に対する姿勢や進め方を修正・確認したり、刺激を受けたり、有意義な時間を過ごすことができました。最後になりましたが、このような素晴らしい勉強会・交流会をご企画・運営していただき、本当にありがとうございました。今後も同業種および異業種メンバーと切磋琢磨しながら、多くの気付きや学びを習得していきたいと思っております。


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西日本医学英語勉強会
West-Japan Medical English Workshop

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